わざわざ笑う

公爵に告ぐ

 五等爵の第一、公爵。かつての家族に与えられていた位であり、特権を伴った社会的身分を表していた。1947年の新憲法施行により廃止となり現在ではあるはずがなく、しかし彼はそれを名乗っている。もしかしたらそういう血統の人間なのかもしれないと思い、実はそういう血筋かと問うたことがあったけれど、先代まで我が家は代々医者と薬屋の家系だったのだよとお酒に満足した湿潤な態度を保ちつつ説かれてしまった。それが真かどうかは甚だ疑わしいことこの上ないけれど、如何せん嘘でないことも分かったため、何も聞かないことに決めたのだ。正直大変面白くなかった。まぁつまりは、だ。彼は趣味で公爵を名乗っているわけだ。「ネーミングとしては伯爵の方が若干好ましいのだけれど、如何せん僕は3という数字が好きじゃないんだ」といも言っていて、例の如く懲りない僕はまた何故かと問うた。「ファーストの鞍札選手が好きじゃない」と随分俗的な台詞を口にしていた。
しかし、この人のデフォルトは確かに爵位伴う様なノーブルさで着色されている部分が大きいと思わせられる場面も少なくはないが、ワサビが嫌だからと言って寿司のネタとシャリの間から自分専用の箸を用いて緑のそれを真剣に剥ぎ取っているその姿はただの阿呆にしか見えない。高貴の欠片も見受けられない。つまりは徹底的に理解不能。
アウトルックは極めて美しく、すらりと高い背につながった長い四肢、ほどよく筋肉のついた体躯。凛として目尻まで余す所なく清水を塗ったような目にすっと通った鼻筋、艶のある低い声と、立っているだけで一つの異空間をつくりあげて周囲の人々を引きずり込んでしまうような風貌。
外面と第一印象とは、それらを大いに引き継いでが故か快いものであり、どこか纏うその不可思議な空気も引き立ち役に回らざるを得ない調子となってしまう。自ら公爵などというどこか香しい気品を名乗るぐらいだからも彼自身のそれも余すところ無くおしめもなく散りばめられていても特に女性など、その衆多で豊かな知識と好きのない気配りやセンスに翻弄されてメロメロになってしまうのがしょっちゅうだった、彼と知り合ってから幾多そういう女性を目の当たりにしてきたか分からない。ナルキッソスの申し子とでも言うか、しかし彼が水辺の美少年と決定的に違う所はも自分に酔いしれることはあっても常に現在の自分を完全と言うほどまでに理解し噛み砕きその力量をコントロールしている所である。我が姿に恋をしその衰弱によって死ぬなどという頼りない儚さなど微塵も持っていない。
僕の場合、紳士的なその外面の他の、彼の阿呆さから何からちょこちょこと結構知っているから余計にそう思うわけだ、こいつは水仙の花に転生などしない。強いて言うならばその身から出る甘い香りに誘われて寄ってきた生物をその胃に収める食肉花。美しい薔薇には棘だか毒だかがあると言うけれど、まさしくその眷属、いやもはや凌駕。花を求めて何ぞやを知る、それこそ彼の真髄。(まあ転生云々の前に、公爵が死ぬのかどうかは判断しがたい所ではあるが)そういう存在であり、仕事人。
僕が初めて彼に会い、初めて彼の仕事という名目の活動を見たとき、(彼はその活動に一切の報酬を要求しない為、僕は仕事と呼ぶことにいささか抵抗がある。しかし彼の持論では、仕事とは自分が果たすべき行動のことであり、自分のその力は常に事故規約のもとこうあるべきなのだから仕事呼んでいいのだ、ということだ)僕はまだ小学校の四年生で、右も左も倣ったら同じだと思っていた年頃の春だ。
桜は殆ど散ってしまっていた、その年は早咲きだったのだ。花弁がくるくると回って落ちた先は、僕の見つめるひとつの死体の上だったことも。
「…、死んだ」
独り言だった。遠くで聞こえるのは、これを見て走っていってしまった弟の泣き叫ぶ声。
数ヶ月前から僕の家で飼っていた小鳥だった。生まれつき左の翼がなく、飛ぶことは叶わなかった蒲公英色の毛並みの小鳥。弟は酷くその鳥を大切にしていたが故、あのはち切れんばかりの嘆きを持っている。というかぶちまけている。
僕は弟の泣く声も顔も好きではなかった。どちらかというと弟の笑った顔が好きで、だからこそ願ったのは鳥の蘇生で、幼すぎてた僕でもそれは叶わないことだと分かっていたのにそれをひっくり返してやろうというヤツが目の前に現れた。台風よりも唐突に。
「死んだら生き返らないと、本当に思っているなら、随分と子どもらしくない子どもだ」
そうだ、最初の言葉は皮肉だった。
子どもなら心のどこかで生き返ってほしいということを信じていればいいのにという意味だったのか。でも、帰って来ないと分かっているから泣きわめくのだろうに。そう思ってぐらぐらと揺らぐ心臓を握りしめるようにして言葉を返した。
「子どものうちは夢をみておいた方がいいんだなんて、おじさんも言うのか」
「まさか。それに僕はおじさんじゃない」
黒いニット帽に隠れた金色の髪、深い藍色のピアス、すらりとした体躯に女の人が喜びそうな精悍な顔つき。格好良いというカテゴリに属すには十分すぎる容姿だったし、声も見た目もいいとこ二十代だ。おじさんという年齢じゃない。それは僕にも分かっていた。分かっていたけど、わざと言った。
「いい年したって夢を見ている大人はたくさんいるよ。現実からの逃避に夢を使う無粋な大人もたくさんいる。君たちは、そういう大人たちの下で面倒に生きていかなければならない、厄介な役目を背負った存在だ」
肩をすくめ、テレビの中の人がやるようにやれやれ、という仕草をしてみせる。いかにもという雰囲気を出していたけれど、春先のそんなヤツに構っているほど僕は馬鹿じゃない。桜に酔わされてこの時期は変な輩が多いんだとばーさんに言われていた、理解していた。放っておいていこうと思った。塀の向こうは僕の家だ、何か妙なことをすれば即座に叫んでやる。ばーちゃんが箒を振り回してやってくるに違いない。怖いんだあの人は。伸されてしまうといい。
そんなことを思っていたら、前触れもなく、ずいとそいつが踏み出してきて思わずびくりと一歩後退。
「鳥を連れておいで」
「……は?」
「最初はお試し期間だ、一週間生き返らせてあげる」
蒲公英色の小鳥は一週間生き返り、弟は大喜びし、ばーさんは眉間に皺を寄せたまま赤飯を炊いた。一週間後にもう一度死んだ小鳥を、最初に見つけたのはまた僕で、弟にバレないうちにヤツを呼んだ。
「伸弥」
「僕の名前は秘密だけどね、しんちゃん、公爵と呼んでくれると凄く嬉しい」
最初の時のどこかちゃらちゃらとした格好じゃなく、耳のピアス穴は塞がっていて、金色の髪の色は何よりも黒くなっていた。だけど僕には、そいつがあのときのあいつ、"公爵"なんだと分かった。
「あげるよ、オレの**、公爵にあげる」
「分かった」
「だからこいつ生き返らせてくれ」
「…お代ぴったり、頂きました」
レシートは貰えなかったけれど、その鳥は今も生きている。弟より長く。
  • 2012.02.21 Tuesday
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  • by 723

責任もってたべる

帰省している間に注射をしに行ったんですけども、そこの先生注射うまくて。ツボ押してじーんとしてる間にぴゅっと刺しちゃうからあの痛みに耐える感じがないの。後からツボが痛くなかったけど。
あと祝日に市内の救急病院みたいなとこ行った。ぐさぐさ麻酔刺されてペンチみたいなのでぐりぐりされた。一瞬の犯行だった……呻いた……グオオオアアア
母親の誕生日でした。祖父母宅にずっといるために、すごくほんと何もない田舎の電車に乗っていったりもして、ゆったりと出来たと思います。秋です。

矢野さんと上原さんのSONGS観たですよー
あの二台ピアノでラーメンたべたいを歌うんだね!!!すごいわ!!豪華とか単語がうまく当たらない。
寝たら絶対1限間に合わないしそれはとても大変なことだから、寝ないぞってもう意気込んでるんだけど、この番組のこと思い出したらとてもラーメンたべたい
ひとりだけど食べたい
にんにくもチャーシューもねぎもいらないー
ラーメンたべたい


太宰散歩ぶり。

別方面に進学した高校時代の友人と、吉祥寺に遊びに行って来ました。現地集合はいかんかったです、JR線で来た彼女と井の頭線で来た私。会うまでにすれ違いをくり返して大変だった。
実家に住んでいた頃に母に連れてってもらったことは何度かあるのだけれど、こっちに出てきてからあんなにたくさん吉祥寺を歩いたのは初めてです。ホットケーキ屋さんでランチ食べて、ひたすら買い物をし歩きました。可愛いアンティーク屋さんとか安い服屋さんとか。衝動抑えるの大変だったわー
引っ越すこと考えるとなんでも欲しくなっちゃったりして。



ボタン屋さん………うわああああ
従業員募集してたよ。すごく働きたい。立地的に難しい。きっと海外買い付けとかもある。楽しむだけにしておこう。
あとドーナツ食べたり原宿移動してやっぱり服買ったりごはん食べたりプリクラ撮ったり、高校生の頃よりちょっとお金かかるようになって、舞台が今回は東京だっただけで、ひたすら歩き回りひたすら喋りっていう、結局あの頃とやってることはほとんど変わりませんでした。そういうものだよね。

その友人に韓国土産を頂きまして。


チマチョゴリ着たベアーちゃんとなんか韓国の伝統的なお菓子らしいです!名前聞いたけど馴染みがない音だったからか忘れてしまった……
その子独学で勉強して韓国語かなり喋れるんですよ。現地でも問題ないし、そっちの友達も何人もいるよう。すごいなーすごいなー
お菓子はドーナツをクッキーにした、という感じ。においとか味とか。美味しいー!!こっちでも買えるお店あるかしら。


背景がニコニコなのは仕様です。ええ、ほんと。


150円xxxカロリー

ふとあるアンソロジー系の文庫を読んでいたら、江國さんの「緑の猫」があったんですね。
でも私全然気づかないで読んでた。昔別のやつでこれ読んだことあるのに、「なんかどっかで読んだことあるな〜」とも思わなかった。あの、お豆腐とかうどんとか、白いものしか食べなくなった、のところでやっと思い出した。
最初、なんか悲しいなこういうのって思った。自分の中に残らない作品っていうのが絶対ある。つまらないとか面白いとかそういう次元で悲しんでるんじゃなくて、それって通り抜けていく文字があるってことなんだよねと。けど白い食べ物のところで思い出せたということは、食べて排泄して、それでも栄養素は血となり肉となり私に残ったということなのではないか?わああああ

昔すべてを真っ白にしないと生きていけない女の子の話を書いたときに、その子は牛乳ばっかり飲んでることになってて、ああうどんが食べられれば炭水化物とれるよねって思って、米も白いじゃんって気づいた。盲点?

先日の学園祭に友人たちが来てくれたので、一緒に回って遊びました。
本当、三人そろうの何か月ぶりという世界なんだけど、やっぱりいつもの安定感。大事ですね、そういう人たちは。って会うたびに思ってるし会うたびに言ってる。

Lサイズポテト食べたけどめっさ多いね。もう一人では食べない。


交換時期がそろそろ。

カラオケ行きたいねえなんて言ってたら、同級生の撮影のあとに行けましたよ。
少人数で広い部屋に招待されるとちょっとうきうきして踊りだしたくなっちゃうよね。
初めて降りる駅だったのだけど、そういう駅は大抵栄えている。ひとり暮らしのわりに定期券の範囲が案外広かったのだから、もうちょっとそういうところを開拓したかったなあ。まあ今からすればいいのだよね。バイトしばらくかえないしーと色々考えている。
新居は大家さんが上の階に住んでいるのです。いいねーなんか大家さんが一緒のとこに住んでるっていいねー
今住んでるとこは学生マンションでオートロックもあって会社管理でとにかく人がたくさん住んでる4階建てで、そういう人が住み住みしてる感じがあまりないのだ。多すぎてもそういうのってストレスになるんだろうけどなあ。

ずっと鍋食べたいと繰り返していたの。念願の女子会が出来ました。映画サークルの女子会ー
しゃぶしゃぶ食べ放題。春雨とマロニーの違いはもちもち感?どちらにしろやつらが好き。
終盤にかぼちゃが溶けてカレー鍋みたいな色になっていたのが面白かった。
秋も末ですよ。冬はお鍋ですね。これでこたつとみかんがあれば素敵なんだけど。引っ越しても、どうしてもこたつは場所をとるだろうなあ。


秋の夜長はやっぱり事務員Gさんですね。



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